2021-01-01から1年間の記事一覧

線分を丸め 端と端をくっつけて そのちょうど境目をまたいで立った私は 上半身を左右に揺らしている

でらしね音楽企画の思い出

私はかつて様々な音楽サークルに所属していた。それは私自身の拡散した音楽への関心ゆえである。一つのコミュニティに留まることのできない私は、根無し草のように次から次へと関心の向くままにサークルを転々としていた。 そんな音楽生活の中で、ひときわ強…

モンクと狂気

セロニアス・モンクを聴きたくなるのはいつも、決まって狂気に犯されているときだ。 誰しもが自らの内に狂気を飼っている。狂気は人の数だけ多様な形を持って存在しているはずだが、私の場合、とりわけ強く意識されることの多い狂気がいくつかある。そのうち…

晩夏

夜更けに浸透する 冷えた雨のにおい 鈴虫の音は 灼熱の残滓をいまだ纏いながら おれの肉をそぎ皮をはぎ 身体の空洞を浮き彫りにする 空の脈打つ闇の隣に 大いなる飢餓を見て 秋の来ないことを悟る

思想

私は思想をしまう場所を持っている。特定のものに触れると特定の思想が想起されるようになっているのだ。例えばキースの音楽、晩夏の雨、照りつける日差しとコンクリートそれから破れたフェンス。思想は場所から芽を出したわけではなく、それはあくまで置き…

憲法の暴力性についての覚書

ある人は、他の人々が彼にたいし臣民たる態度をとるがゆえにのみ王である。ところが彼らは、彼が王であるがゆえに自分たちは臣民であると信ずる。(カール・マルクス『資本論』第一巻、第一篇、第一章) 上記のマルクスの言葉は、王が王であるためには、それ…

Dreamy

Clube da Esquina N°2 - Milton Nascimento www.youtube.com Dreamy music.apple.com Clube de Esquina #2 - Julien Wilson Harvest Moon - Jane Birkin Joy Spring - Joe Pass Spiegel im Spiegel: 1 - Arvo Pärt Mandeville - Paul Motian Old Folks - Buc…

徂徠メモ

荻生徂徠の道についての洞察は卓越している。 徂徠における道の本質は丸山真男も指摘する通り、治国平天下の政治性である。道とは、あくまで聖人がより良い統治のために創造したものに過ぎない。極端に言えば、この観念によってもたらされる結果が善であれば…

Cyberpunk

music.apple.com TNT - Tortoise Snow Day - Julia Brown Mind Garden - Leavv Second Narrows - Loscil Nimbus - Michele Rabbia Superstrada N°2. Toscana. - Luc Ferrari Aldebaran - Björn Meyer 3X2 (Exit) - Aix Em Klemm Journey from the Death of a…

行方

この日私のもとへ届いた一篇の詩は 私を滅ぼし やがて世界を滅ぼすだろう 私は 白痴としてふるまい 白痴に蝕まれながら ついに白痴とならず 読むたびかすんでゆく文字を眺めるばかり 単に白紙を見つめるようになった私 隣に腰かけた旧友は ところどころ未知…

赤黄色の金木犀

フジファブリックの歌詞に心を動かされることはあまりないが、「赤黄色の金木犀」の一節 いつの間にか地面に映った 影が伸びて解らなくなった だけは良いと感じる。「影が伸びて」「解らなく」なる感覚は、とてもよくわかる。

社会契約論についてのノート

近代ヨーロッパ政治理論における社会契約論の意義は多様であるが、こと哲学的意義に関して言えば、自由な個人を根拠としてどのように政治的権力が正当化されうるかという問いに正面から取り組んだという点は、とりわけ大きな位置を占めるものである。 近代以…