大人になる?

オンライン授業で自分の画面が暗いことを指摘されて「すべての光から背を向けてるので」と言ったことが頭に残っている。なんとなくカッコいい響きだが、光から背を向けているようでは、それはまだ大人とはいえないという思いがある。じゃあ本当の意味で大人になるにはどうすればいいのか。人は「本当は全部無意味なんじゃないか」と思うものだが、真に恐ろしいことは、「本当は意味しかないのだ」という事実に直面することだろう。この逃れようのない事実と真摯に向き合うとき、つまりこの事実の意味することを考え、それでも生きる力を持つとき、大人になることができる。鏡に映っている子どもを捨て去ることができるのである。そこで初めて積み上げていくことができるようになり、子どもの背中を見ることもできる。大人でありながら<子ども>になるのである。<子ども>を心から愛せるということは、<子ども>などなくても生きていけるということだろう。<子ども>を愛することは他人を愛することでもある。すべての人を憎むこととすべての人を愛することの間には、線分を円状にしたときのちょうど端と端がくっつく一点に立ち、上体をどちらに傾けるかという程度の差しかない。その0でありながら無限であるような差異を乗り越えて、憎むのではなく愛すことのできるようになることが大人になるということなんではないかと思っている。